ヴァイオリニスト 久保陽子物語 #3

母と娘 努力の日々

小学校3年生になった久保さん、折田氏の紹介で、小野アンナ氏に出会います。

久保さん:「初めて学校に行った時にね、暗い部屋から出てきたアンナ先生が魔法使いに見えて、きゃーっと叫んで外まで逃げたの!」

そんな小野氏に「明日発表会だから見に来なさい」と言われて見にいった発表会のレベルの高かったこと!それもそのはず。皆さん小さいときから英才教育を受けてきた子たち、その差は歴然でした。ご本人はあっけらかんとされていたようですが、驚いてしまったのはお母様。「遅かったの?...」と悩んでしまって、当時28歳だったのに1週間で白髪になってしまうほどでした。

久保さん:「人の髪の毛がストレスで白髪になってしまうのは本当なのよ」

心配で周りに相談するお母様。すると「すぐ追いつくから大丈夫!」という反応。
そう、それなら…覚悟を決めたお母様、ここから猛特訓が始まりました。まず朝5時から練習、そして学校が終わったらすぐ練習…ついには「週に2回のレッスンの間(3~4日間)毎に2曲のエチュードを暗譜させる」ことを決められたのです。

久保さん:「私が練習している傍で母は疲れて寝てしまうのね。そんなときはすこーしずつ音を静かに弾くようにしてね。大丈夫かな、大丈夫かなーって(笑)。最後に『ガタン』って少し音を立てても起きなかったら、そーっと窓を開けて、部屋を抜けだして遊びに行っていたのよ。そうすると、しばらくしたら『ようこー!(怒)』って大きな声で呼ばれてね。さーっと戻ってまた練習するの(笑)」

実際には「魔法使い・アンナ先生」ではなく、アンナ氏の代稽古をされていた、村山信吉氏に師事していた久保さん。週2回のレッスンの待ち時間、同時期にレッスンを受けていた、磯恒男氏、今井信子氏と一緒に遊べるのがとても楽しみだったとのこと。想像すると微笑ましいですね。

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